シクラメンの花束から始まる物語 Dior(ディオール)22026年春夏オートクチュールコレクション

Jonathan Anderson(ジョナサン・アンダーソン)がDiorでの初のオートクチュール・コレクションを発表した。

アイルランドのデザイナーは彼の経験と才能を最大限に活用して世界を代表するファッションハウスのオートクチュール・コレクションの作成に挑んだようだ。

ショーの会場であるロダン美術館の一室がまるで天地反転されたかのように天井に花が咲き誇り鏡面の壁により無限に広がるような錯覚を覚えた。

前回の既製服(プレタポルテ)2026年春夏コレクションで発表した流れるようなボリュームのあるドレープによるリボンが特徴なドレスのスタイリッシュなバリエーションがファーストルックを飾った。

デザインのモチーフになったのはケニアにルーツを持つイギリス人陶芸家であるMagdalene Odundo(マグダレン・オドゥンド)の作品である。

彼女の作品は個性的な曲線の丸みを帯びた壺が有名でアフリカの伝統的な技法と世界各地の歴史的な作品に影響されている。

Magdalene Odundoの作品が持つ独特の丸みをドレスで表現するために建築分野の専門家との協力してユニークな内部構造を開発していた。

ドレスだけでなくアイコニックバックであるLady Dior(レディ・ディオール)も彼女の陶芸作品がモチーフなったものがお披露目された。

既製服(プレタポルテ)コレクションで既に何度か発表していた再解釈されたBar Jacket(バージャケット)のロングバージョンを披露した。

メゾンのコードだけではなく過去に活躍したデザインーへの敬意を今回のコレクションでも同様に表していた。

とくに1990年代後半から2000年代に活躍したDiorの元クリエイティブディレクターであるJohn Galliano(ジョン・ガリアーノ)の名誉挽回に務めた。

Jonathan Andersonが初めてDiorのショーを開催した際にJohn Gallianoは記念に黒のシルクリボンで結ばれたシクラメンの花束を贈っていた。

その出来事を再現するようにコンパクトになった花束がショーの招待状とモデルの耳に飾られていた。

創業者であるChristian Dior(クリスチャン・ディオール)が幼いころから花に囲まれて育ちスズランのドレスを制作するなどメゾンにとって花は特別な存在である。

自然の賜物である花を倣うことで新しい学びがあるとJonathan Andersonは語っていて、花そのものを模したアクセサリーや花の形から連想されるドレスをデザインした。

まるでケイトウの襞のある花びらが幾重にも重なったようなドレス、和服をモチーフとしたようなフラワー刺繍が施された歪んだドレス、ホオズキのようにふっくらとしたボリュームのデザインのドレスが披露された。

衣装を華やかに飾るまるで本物のような花はDiorのsavoir-faire(サヴォアフェール:熟練の技術)一つひとつ丁寧に手作業によって制作されていた。

まず綺麗に染色することができ熱によって形を固定できるシルクの素材を用いて金属製の型に押し込んで花びらを形作る。

リアルな花びらのようにグラデーションになるように手染めして丹念に縫い合わせれる。

さらには白いベルベット生地の花柄以外の箇所を黒く塗りつぶして縞模様に熱を加えることで柄を浮き立たせて立体的な陰影のあるドレスに仕上げるユニークな技術も使用されていた。

18世紀に活躍したイタリアのロココ画家であるRosalba Carriera(ロザルバ・カッリエーラ)とイギリスの細密肖像画家であるJohn Smart(ジョン・スマート)制作の貴重な肖像ミニアチュールがストールに装飾された。

15世紀から18世紀にかけてヨーロッパの貴族の間で流行ったWunderkammer(ヴンダーカンマー:驚異の部屋)という世界中の希少品を収集しておく部屋から着想を得て地球と宇宙という自然から生み出せれた化石、鑑賞石や隕石がアクセサリとして変貌した。

銀色のフェレット、てんとう虫などJonathan Andersonらしい遊び心に溢れていた。

トトロを思い起こす傘のような大きな葉っぱのルックにはシフォン素材のドレスにナスタチウムの花が刺繍された。

18世紀のフランスで制作されたシルクの衣装の切れ端を再利用して和のテイストが感じられる靴やバッグに生まれ変わっていた。

1950年代に発売された旅行用枕が再解釈されて当時の形をそのままにバッグへと姿を変えた。

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