Valentino(ヴァレンティノ) 2026年秋冬コレクション:バルベリーニ宮殿に響く「美しき干渉」

永遠の都ローマ。メゾン創設の地であり、アレッサンドロ・ミケーレ自身の故郷でもあるこの街で、ヴァレンティノの2026年秋冬コレクション「Interferenze(インテルフェレンツェ/干渉)」が発表されました。

舞台となったのは、バロック建築の最高峰「バルベリーニ宮殿」。この場所が選ばれたのは、単なるノスタルジーではありません。そこには、ミケーレが現代の衣服に託した深いメッセージが隠されていました

1. 建築と衣服が共有する「相反するエネルギー」

バルベリーニ宮殿は、一見すると「秩序」に基づいた堅牢な構造(アポロン的原理)を持ちながら、一歩中へ入ればピエトロ・ダ・コルトーナの天井画が躍動し、境界のない「動揺」と「衝動(ディオニュソス的衝動)」が渦巻いています。

ミケーレは、この「規律(直線)」と「衝動(曲線)」がせめぎ合う空間を、衣服のメタファー(暗喩)として捉えました。社会的な規範と個人のエキセントリックな衝動。帰属することと逸脱すること。その両者が打ち消し合うことなく共存するさまを、彫刻的なドレープやドラマチックなシルエットへと昇華させたのです。

2. 「身体の空間」を再定義する装置

「建築が環境を形作るように、衣服は身体に最も近い空間を構築する」——。

今回のコレクションで示されたのは、衣服とは単なる布ではなく、個の在り方を規定するダイナミックな装置であるという論理です。伝統を重んじながらも、それをあえて揺さぶることで、着る人のアイデンティティを鮮明に浮かび上がらせます。

3. 創設者へのオマージュと「新たな不協和音」

今年1月に逝去した創設者ヴァレンティノ・ガラヴァーニ。彼が築き上げた「完璧で規律ある美の殿堂」に対し、ミケーレは自身の持つ「少し歪んだ、エキセントリックな感性」をあえて干渉させました。

それは過去の否定ではなく、完璧な調和の中に意図的な「ズレ」を生じさせることで、古典に新たな生命を吹き込む試み。伝統的なローマの壮麗さと、ミケーレ流の折衷主義がぶつかり合い、誰も見たことのないヴァレンティノの新しい章が幕を開けました。

80年代の再来: 1980年代のヴァレンティノを彷彿とさせる、大胆なパワーショルダーや絞られたウエストラインが登場しました。

アイコンの復活: 2010年代に一世を風靡した「ロックスタッズ」や「ロックスタッズ スパイク」バッグが、スリムなシルエットにアップデートされて再登場し、大きな注目を集めました。

フィナーレの「赤」: ショーの最後を飾ったのは、背中が大きく開いた真っ赤なガウンドレスでした。これは亡き創設者への最大の敬意(オマージュ)であり、ミケーレが「ヴァレンティノの赤」という強烈な存在感を持つ遺産と向き合った結果です。

4. 伝統の深淵で共鳴する、美しき「干渉」の全貌

ボリュームのある肩のラインと、ドレープが美しいベージュのロングケープのようなガウンが特徴的です。内側には、ビジューやスパンコールが施された煌びやかなハイネックのドレス。

ウエスト部分にはライトブルーの幅広のサッシュベルトが巻かれ、足元には鮮やかなレッドのロングブーツを合わせるという、大胆な色使いがなされていました。

ウエストをベルトでマークしたシャープなラインが際立つブラウンのレザージャケット。柔らかいピンクベージュのフリルが重なったティアードパンツを合わせ、素材感のコントラストを表現しました。

大ぶりのパールネックレスやグリーンの宝石をあしらった豪華なジュエリー、印象的なイヤリングが、ミケーレらしい装飾的なスタイルを象徴しました。

非常に着丈の長い、マキシ丈のグレーのダブルブレストコート。ストライプ柄のシャツに、深みのあるボルドー(バーガンディ)のタイを合わせたクラシックなスタイル。

コートの裾から覗くベージュ系のワイドパンツが、全体のシルエットにリラックス感を与えていた。背中の生地を中心の一点に集めてひねりを加えることで、彫刻のような立体的なドレープと深いシワを生み出しました。

ライトブルーのハイネックシャツに、黒のウエストバンドのようなディテールが重ねて、ベージュの繊細なプリーツが施されたマキシ丈のスカートにブラウンのレザーブーツを合わせました。

肩から斜めに掛けたボリュームのあるブラウンのファーショール(ストール)が特徴的で、大きなリボンで結ばれた。頭にはブルーのビジューがあしらわれたヘッドバンドを装着しました。

シルバーのメタリックな輝きを持つ、ビーズやラインストーンのような装飾が全体に施されたスモールサイズのDeVain(ドゥ ヴェイン)バッグ。フロントにはヴァレンティノを象徴するゴールドの「Vロゴ」が配置されました。

ハイネックのデザインで、袖口までプリーツが施されているモカブラウンの繊細なプリーツブラウス。ピンク色の幅広のサッシュベルトでウエストマークされてシルエットにアクセントを加えました。

裾口に、繊細なレース素材(またはレース編みのディテール)がレイヤード、あるいはドッキングされたトップスとは対照的に、カジュアルな細身のブルーデニムを合わせました。

新作アイコンバッグPanthea(パンテア)。パイソン(ヘビ革)やナッパレザー、スエードなどの異なる質感を組み合わせた、幾何学的な「V」字型のシェブロンパターンのパッチワークが特徴。メゾンの象徴的なアーカイブである「パンサー(豹)」にインスピレーションを得ている。バッグの前面には、クリスタルが装飾されたエナメルのパンサーの頭部が2つ配置されました。

くすんだブルーのオーバーサイズのスウェットシャツ風ニット。首元を華やかに彩る、大きな宝石やクリスタルがあしらわれたデコラティブなネックレス。胸元にはピンクのレースと黒いレースのトリミングが施され、V字型の装飾的なデザインになっていました。

ドレープやタックが入ったような質感のブロンズやカッパー系の光沢のあるメタリックなミニスカート。ルックに鮮やかなアクセントを加える、明るいピンク(またはパープル)のタイツとイエローがかったマスタードカラーのポインテッドトゥパンプス。

黒のベルベットのような素材をベースに、色鮮やかな花々の刺繍が施されたバッグであるDeVain(ドゥ ヴェイン)。中央にはブランドの象徴であるゴールドのVロゴ(VLogo Signature)があしらわた。バッグの縁やストラップの一部には、繊細なビーズ装飾や刺繍が施されており、非常に華やかな印象。

深みのあるブラウンとブラックのストライプが特徴的な、マキシ丈の贅沢なファーコート。ウエスト部分は黒いレザー調のリボンベルトで絞られており、ボリュームのある袖と裾の広がりがエレガントなシルエットを作り出しました。

首元には蝶のモチーフと思われるペンダントが光り、足元にはスタッズが施されたピンク色のパンプスを合わせ、重厚なコートに軽やかさとモダンなアクセントを加えました。

建築的な幅広のパッド入りショルダーと、ウエスト部分に施された精巧なプリーツが目を引くドレス。胸元が深く開いたVネックのインナーには、繊細なブラックレースのディテールが施されました。

全体的に鮮やかなフューシャピンク(またはマゼンタ)で統一されており、足元には対照的なブルーのパンプスを合わせました。

首元を飾る非常に装飾的なジュエリー。ミケーレらしいバロック様式の美学が反映されており、宝石が散りばめられたペンダントやバロックパールが層を成すデザイン。

首元と袖口に豪華なブラウンのファーが施されたトップスはキャメルカラーのジップアップブルゾン。スポーティーなシルエットに高級感のある素材を組み合わせたデザイン。

繊細なコードレースやスパンコールが装飾された透け感のある鮮やかなブルーのフローラルレースパンツを合わせました。

このバッグは、メゾンのアイコンであるRockstud Spike(ロックスタッズ スパイク)のショルダーバッグ。ナッパレザーにキルティング加工が施され、格子の交点にはプラチナ仕上げのマイクロスタッズが飾られました。

肩パッドがしっかり入ったボックスシルエットで、80年代のパワータイリングを彷彿とさせる光沢感のあるテラコッタ色(レンガ色)のダブルブレストジャケット。

ウエストに深いタックが入った、ボリュームのあるベージュのワイドパンツ(トラウザーズ)を合わせた。裾に向かって緩やかにテーパードしており、リラックスしながらもエレガントなシルエット。

ジャケットの下には、シャツの柄を引き締める、黒地にゴールドのレジメンタル(斜め縞)タイと、落ち着いたベージュやブラウンをベースにした、複雑な花柄(フローラルプリント)のシャツ。ネクタイの上に重ねられた、蝶(バタフライ)モチーフのネックレス。

足元にはスポーティなスニーカーを合わせており、クラシックなスーツスタイルをあえて崩す(着崩す)ことで、現代的なエフォートレスな雰囲気を作り出しました。

深いVネックのラインと裾のスカラップ(波型)の縁取りが特徴的な金色の刺繍や装飾が施された、華やかでエキゾチックな雰囲気のダークカラーのジャケット。

ジャケットのウエスト部分を、鮮やかな紫色のリボン状のベルトでマークしており、シルエットにアクセントを加えました。グレーのプリーツが何層にも重なった、ティアードデザインのユニークなパンツを合わせました。

スタッズが施されたブラックのチェーンバッグRockstud Spike(ロックスタッズ スパイク)を肩に掛けていました。

深いVカットの胸元に紫色の刺繍が施された、黒いベルベット素材のミニドレス。淡いブルーの幅広のサッシ(帯状の布)がウエストに巻かれ、シルエットにコントラストを与えました。

何重にも重なった豪華なパールのネックレスに、大きなグリーンの宝石が付いたペンダントが特徴的。足元には繊細なレースやフローラルパターンのタイツを合わせました。

フロントに装飾的なトグルボタンが配された、ノーカラーのグレーのジャケット。ウエスト部分には、太いゴールド(またはマスタードイエロー)のサテン調の帯(カマバンド風)が巻かれており、シルエットにアクセントを加えました。

ゆったりとしたワイドシルエットのグレーのプリーツパンツ。首元には、複雑な刺繍や装飾が施された華やかな襟付きのシャツを合わせました。

ブラックのレザーにキルティング加工が施されたRockstud Spike(ロックスタッズ スパイク)バッグ。ヴァレンティノの象徴である小さなロックスタッズが格子状に配置され、その間に色鮮やかな蝶(バタフライ)や植物のパッチが散りばめられました。

肩のラインを強調した、エメラルドグリーンのプリーツ加工ブラウス。首元から見えるパープルのハイネックがアクセント。オレンジ色の幅広のサッシュベルトでウエストマークされ、シルエットにメリハリをつけました。

ワインレッド(または濃いパープル)のタイトなプリーツミニスカート。大ぶりのシルバー系ドロップイヤリングが華やかさを添えました。

アンクルストラップに大きなリボンがあしらわれた、淡いピンク(ダスティピンクやベージュ系)のスエード調パンプス。ヒールは非常に細いピンヒールで、底面やヒールの先端がゴールドまたは黒のコントラストになってるのが特徴。

グレーのツイード地のような厚手のジャケット。襟元からフロントにかけて、ボリュームのあるダークブラウンのファーがあしらわれており、豪華で重厚な印象。光沢感のある黒のアシンメトリーなスカートを合わせました。裾が不規則にカットされており、動きのあるデザイン。

顔の半分を覆うような、非常に大きな黒のシールド型サングラスが、ミステリアスでフューチャリスティックな雰囲気を醸し出しました。鮮やかなラベンダー色のタイツが、ダークトーンのコーディネートの中で強いアクセント。足元は、つま先がオレンジ色のバイカラーになったアンクルストラップ付きのパンプスを合わせました。

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