ドイツのベルリンを拠点とする前衛的なファッションブランド
ファッションの世界では常に限られた表現方法で限界を押し広げて新しいデザインを模索しています。
Ottolingerもその中のひとつで、未知のデザインを目指して毎年パリ、ニューヨークといった世界的なファッションウェークでコレクションを発表しています。
隣人の名前がブランド名の由来！？
スイスにルーツを持つ、Cosima GadientとChrista Böschベルリンを拠点とするファッションブランドOttolingerを創設しました。
前衛的なファッションデザインとはかけ離れたスイスの田舎の農村で生まれ育ちました。ファッション含めて都会的な洗練されたデザインより、伝統的な文化が強く受け継がれている環境でした。
彼女たちが出会ったのはバーゼルにあるデザイン研究所の学生のころでした。
同じ環境をルーツに持つ彼女たちは意気投合してブランドの設立を目指します。
駆け出しのころのスタジオは郵便受けがなく、すぐ近くに住宅があるほど狭い場所だったので、彼女たちに届く手紙や荷物はとなりの一軒家に住むOttolinger宅に届いていました。
ブランド名はデザインを連想させない抽象的なものとして名づけようとしていたが、冗談で隣人宅のOttolingerという名前でブランド創設しました。
前衛的なデザインの苦悩
彼女たちが目指すデザインは他とは異なるものでした。
真面目にファッションをデザインをするとどうしても似たようなデザインが量産的に誕生してしまいます。
素材やディテールで差をつけることも可能ですが、彼女たちが取ったアプローチは完成したデザインをカットしたり、酸で溶かしたり、燃やしたり、パンクで反抗的なものでした。
試行錯誤をくり返すなかで人間が考えることができない、ほかに類をみないデザインを生み出すことができます。
そのようなアプローチの難点は複製が難しいことです。
通常、洋服のデザインが決まるとそれに沿って、スタジオや工場などで生産をするのですが、制作過程が特殊だと引き受けてくれる工場などがいなく、個人で制作することになります。
Ottolingerの初期のコレクションは数に限りのある貴重なものでした。
世界的なブランドからその先へ
Ottolingerの一番初めのコレクションは2016年のニューヨークで発表されました。
無数に穴の開いたデザインや、アクション映画で戦闘が終わったあとのようなボロボロになったデザインで衝撃を与えました。
歴史のあるヨーロッパのファッション業界でもパンク的で反抗的なデザインが注目を集めました。
既に完成されたデザインを破壊や修復などを経て生まれ変わる美学がファッションに斬新な発想を持ち込みました。
ヨーロッパで権威あるLVMH賞にノミネートされたり、海外セレブリティがOttolingerのアイテムの虜になるなど世界的に人気のブランドとなりました。
コレクションで発表するような斬新で奇抜デザインでブランドの権威を維持しながら商業的なバランスも取って全世界のファンの心をつかんでいます。
2023年春夏コレクションのロープの装飾が施されたレザージャケットとハーフパンツ
