ファッションの常識を覆す
突然ですが、いまでこそ太陽の周りを地球、惑星などの天体が回ってるという地動説が周知の事実になっていますが、ひと昔前では異なる宇宙解釈が広く信じられていました。
中世ヨーロッパの最先端の宇宙研究では地球を中心とした天道説を基礎として発展してきましたが、それを覆して地動説を体系的に発表したのが天文学者のニコラウス・コペルニクス(Nicolaus Copernicus)です。
そんな天文学の新しい土台を築いた天才の名前に由来するのがファッションブランド Coperni(コぺルニ)です。
最新のテクノロジーをファッション業界に取り入れて新しい変革をもたらしている注目のブランドです。
Resort 23 Collection
ソウルメイトによるCoperniの創設
パリのファッションスクールでCoperniの創業者である男性デュオ、Arnaud Vaillant (アルノー・ヴァイヤン) と Sébastien Meyer (セバスチャン・メイヤー)が初めて出会いました。
彼らは意気投合してソウルメイトとなり、Coperniを創設する前にも一緒にプロジェクトに取り組んでいました。Arnaudが組織のマネージメント、Sébastienがデザインを担当して、役割が明確に分かれていました。
Balenciaga(バレンシアガ)で既に働いていたArnaudがサポートする形でSébastienの二人でCoperniが2013年に創設されました。
誕生から初めてのコレクションがANDAMファーストコレクション賞を受賞するなど、ファッション関係者から評価が高く期待のブランドのひとつでした。
その後、同郷の歴史のあるトップブランドCourrèges(クレージュ)のクリエイティブ・ディレクターにSébastienが任命されて、Coperniの活動が休止されます。
2018年に再度、二人の男性ソウルメイトによりCoperniが再始動してファッション業界に新しい風を吹き込んでいます。
Arnaud Vaillant & Sébastien Meyer
女性中心の宇宙解釈
コペルニクスが太陽中心の宇宙モデルを提唱したように、Coperniの創業者であるArnaud Vaillant (アルノー・ヴァイヤン) と Sébastien Meyer (セバスチャン・メイヤー) は宇宙を女性を中心としたものと捉えています。
女性の魅力を最大限に高めて、ホットな気持ちで出かけたり、楽しんだりできるようなデザインです。
具体的にはボディラインを強調したり、露出度を高めた官能的なドレスやトップス、厚底のサンダル、曲線の裾とスリットが入ったミニスカートなどコーディネートの主役となる特徴的なアイテムを多く取り扱っています。
Hailey Bieber(ヘイリー・ビーバー)によるCoperniのホットコーディネート
テクノロジーとの融合
Coperniは最新のテクノロジーをファッション業界に取り入れることで新しい試みに挑んでいます。
テクノロジーに由来したデザイン、テクノロジーを駆使したコレクションの発表などいまの時代にあったエキサイティングなものへと昇華しています。
Swipe Bag(スワイプ・バッグ)
iPhoneのスワイプによってロックを解除するボタンをモチーフにしたバッグです。
2019年秋冬コレクションで発表されたこのバッグは、Coperniを代表するロングセラーアイテムとなりました。
Coperni SS21 XR Campaign
仮想現実(VR)、拡張現実(AR)、複合現実(MR)を採用し没入感のある空間を作り出しています。
キャンペーンでは、モデルたちが高層ビルのむき出しの鉄骨に寝ころんだり、ダンスしたり、落ちそうな女性を危機一髪で救ったり、映画のワンシーンのような映像に魅了されます。
独自のファッションショー
ファッションショーに力を入れていて、1960年代から続くキャットウォークにモデルを歩かせてコレクションを発表する方法を進化させて独自性をもった新しい体験を提供しています。
2021年秋冬コレクション
当時、例のウィルスの脅威により屋内でのファッションショーが不可能な状況のなかでドライブインというアイディアにたどり着きました。
観客が乗車したたくさんの車のヘッドライトがキャットウォークを照らしてそのなかをモデルがCoperniの服を着て歩くという斬新的なファッションショーでした。
2023年春夏コレクション
ショーの終盤、元ヴィクトリアシークレットエンジェルの人気モデルBella Hadid(ベラ・ハディッド)が胸を手で隠したほぼ裸の状態で登場しました。
なにをするかと思うと彼女に白い雪のようなものを全身にスプレーで吹き付けていきます。
白い雪のようなものは空気に触れると生地のようになり、一瞬で白いスリットの入ったドレスへと変貌しました。
白い液体の正体はスペインのファッション デザイナーManel Torres(マネル トーレス)が開発したスプレー式生地のファブリカンというものです。
2023年秋冬コレクション
Boston Dynamics社のSpotという黄色と黒の犬型ロボットがショーに登場して、モデルたちと共演しました。
ラ・フォンテーヌの「狼と小羊」という物語がモチーフになっています。オリジナルの作品は権力社会における人間のパワーバランスに疑問を投げかけたものですが、
Coperniが描く未来は人間とテクノロジーに支配も被支配もない、サポートし合える関係を想定しています。