フランスファッションの輝く星JACQUEMUS

デザイナーのパーソナルなストーリーが反映されたコレクション

南仏出身のSimon Porte Jacquemus (サイモン・ポート・ジャックムス) が設立したJACQUEMUSは設立後たった数年でたくさんの歴史あるブランドがあるフランスにおいて注目のブランドの仲間入りをはたしています。

JACQUEMUSがどのようにフランスのファッション業界で旋風を巻き起こしてきたのか、創設者でデザイナーでもあるSimon Porte Jacquemusのパーソナルなストーリーとともに見ていきましょう。

最愛の母の死とブランドの誕生

Mallemort(マルモール)というパリから遠く離れた南フランスの小さな田舎町でSimon Porte Jacquemusが誕生しました。

幼いころからフランスの美しい女優に魅了され彼女たちの人生に思いを巡らせて、ストーリーを構想することに没頭していました。

さらには母のためにカーテンからスカートを作成するなどファッションデザイナーとしての片鱗がみえることがありました。

彼の類稀な才能は故郷の小さな町の人々が彼の将来を確信しているほどでした。

野心溢れる彼が19歳のときパリに上京してファッション学校に入学しました。パリに上京してから一か月後最愛の母を交通事故で亡くします。

このことで人生の儚さを実感して母の旧姓でファッションブランドを始動させました。

その後、ファッション学校の人たちの無気力さに嫌気がさし、ブランド活動を本格的に取り組むようになります。

ショップ店員としての下積み時代

もともと学生時代から構想した物語をブログで投稿するなど、全世界に彼の魅力を発信することを得意としていました。

とくに田舎から都会にきて学校も辞め、何も失うものがない彼はファッション関係者にメッセージを送り自分を売り込んでいました。

お金がないなかで作成した彼の3回目のコレクションがComme des Garçons(コム・デ・ギャルソン)の川久保玲の目に留まります。

この繋がりを信じてコム・デ・ギャルソンで働きながら資金を貯めることを決意しますが、歴史あるブランドが無名のデザイナーとコラボレーションや彼のコレクションを店頭に置くことはできません。

川久保玲のAdrian Joffe(エイドリアン・ジョフィ)に彼の熱意が伝わり、店舗で洋服を売るショップ店員として採用されます。

日中はショップ店員でコム・デ・ギャルソンの服を売り込み、夜は自身のコレクションの作成活動をするというファッション漬けの毎日を過ごしていました。

2年間程度、ショップ店員を続けてインスピレーションを得たり、ファッション関係者との人脈が広がり彼にとってビジネスの土台が完成したともいえるでしょう。

LVMH PRIZEの特別賞を受賞

ショップ店員を卒業して地に足をつけてデザイナーとして活動を始めてからすぐにLVMH PRIZEの特別賞を受賞します。

LVMH PRIZEはLOUIS VUITTONなどのハイブランドを傘下に持つ世界最大のファッション企業グループであるLVMHが2014年に若手デザイナーの支援を目的として開始されました。

JACQUEMUSは2014年にファイナリスト、2015年に特別賞を受賞しています。

当時の彼のコレクションは大胆のカットと布を切ってくっつけたようなデザイン、布を絞ったようなあデザインで、全体的にアシメトリーで前衛的な攻めたものが多いです。

ただ単に奇抜なだけでなく、いい意味で子どもが作成したような図工の無邪気さがあり、全体で統一されたコレクションになっています。

フランスファッション界の一流ブランドの仲間入り

ブランド誕生から数年あまりでたくさんの伝統的なブランドがある保守的フランスファッションの一流ブランドに名を連ねています。

いまやファッション関係者でその名を知らない人がいないほどですが、彼のブランドに対する取り組みはほかのブランドと違い彼の個人的な想いが詰まっています。

ブランドが大きくなっても親しい友人のアドバイスを求め、さらにはコレクションでは個人的に関係のあるモデルさんを使用しています。

 

彼のコレクションには題名があり、ひとつの映画のようにストーリーも考えられています。

2020年春夏コレクションのファッションショーは彼の故郷、南仏のプロヴァンスのラベンダー畑をランウェイとして実施されました。

「Le Coup de Soleil(日焼け)」と題名が付けられたファッションショーはJACQUEMUSの生誕10年を記念するイベントで絵画のようなラベンダー畑とフェミニンなJACQUEMUSのウェアがコラボレーションが印象的です。

オーバーサイズの麦わら帽子もコレクションの特徴のひとつで、農家出身のJACQUEMUSらしいアイテムだと思います。

2021年春夏コレクションのファッションショーはパリから北上して約1時間の場所にあるヴァル・ドワーズ地方にある麦畑でおこなれました。

ショーのテーマは「L’amour(愛)」と付けれら幻想的な麦畑なかで、白、黄色、黒をメインとした色調で夏らしい淡い色のデザインもでてきてどちらかというとクールな雰囲気がありました。

2022春夏コレクションのファッションショーはフランス国外のリゾート地で開催されました。

ハワイの美しいビーチでおこなれたショーは「Le Splash」と名付けられ大胆なカットとパステルカラーなどJACQUEMUSの新しい可能性が秘められています。

最新の2022クションは再度フランスに戻りファッションショーが開催されました。

「Le Papier(紙)」と題して塩田が有名な南仏のエーグ・モルトの真っ白な塩の山を背景に開催されました。

全身白のJACQUEMUSのデザインが背景と調和して神秘的な光景です。

私生活では彼が生まれ育ったCharleval(シャルルヴァル)という南仏の村で長年のパートナーであったMarco Maestri(マルコ・マエストリ)と挙式しました。

いかに彼が故郷を誇りに思っているか、愛しているかわかると思います。